みなさまのおかげで株式会社マナビノタネは12周年を迎えることができました。改めまして感謝申し上げます。
2年前の10周年の際には、都城市立図書館の開館を翌春に控え、次の10年をどのようなものにしていくかを考える余裕がありませんでした。ただ、思えば私自身が稲作と山仕事を始めたのがちょうど10年前なので、今年こそが大きな節目なのかもしれません。
かつて会社員時代、2005年の愛・地球博「サイバー日本館」ディレクターを務めた際、環境問題の専門家から話を聞きました。
「大昔の生活に戻しても地球温暖化の速度は100年は止まらない」
「毎年未曾有の豪雨や超大型台風がやってくる」
「地球規模で食糧難になる」
最初は本当だろうかと思いましたが、どの専門家も同じようなことを言いました。自分自身が何か手を打たなくてはいけないのではないかと感じるようになっていきました。
こうして長野県御代田町に移住し、会社も辞め、起業し、これまで
通い稲作塾をはじめとして自分なりに考えたことを日々試行してきました。
先日、ある話を聞きました。
「人類はいまの生活を維持するために地球3個の資源を使っている。1個分でも他の生き物たちの分を奪っていることになるのに、3個ということは未来に負債を回しているようなもの。しかもこの先まだまだ人口が増加する国、開発や発展を目指す国がある。
2030年までに世界中の人びとの意識(生活)が変わらなければ、人類(多くの生物)の生存環境が破綻するシナリオから抜け出せなくなる。」
2030年、すなわちあと10年という残り時間が確かかどうかはわかりません。しかし、この2、3年で急に、「何十年ぶりの」「未曾有の」「観測史上最も」といった形容詞がつけられるほどの異常気象、それによる環境破壊、大災害のニュースが日常的に流れるようになってきました。私の身の回りの自然環境でも異常だと感じるようなことが起こり始め、「いよいよ来たか」と感じるのは私だけでしょうか。
誰しも破滅的な説は信じたくありません。暗い未来の話なんて聞きたくないと耳を塞いでしまう人も多いと思います。それは仕方がないことです。
『諦めてしまうのか?』
世界を変えていくようなことはもちろん私にはできません。もう誰もが自らの命の危機を感じるぐらいに環境が悪化しないと、世の中は変わらないんだろうと思います。
しかし、とにかく何かやってみようと思うひとと一緒に、まったく新しい価値観とはどういうものかを考えてみたい。そしてもしも最も厳しいシナリオになった時に、生き抜いていくためのさまざまな術を速やかに導入できるような活動はしていきたい。どんなシナリオになるにしてもこれから必要になってくることだと思います。
これからの10年は、ビジネスモデルもないような未知の事業に挑んでみようと思います。
これまで自宅をオフィスとしてきましたが、共働的な事業になりますので、思いが同じひとが集える新たなワークプレイス(名称はこれから考えます)をつくることにしました。場所は、まちなかや駅近など利便性の高い場所につくることも考えましたが、そんな環境では新たな価値観は生まれそうにありません。
そこで、私が毎年冬に木を伐らせて頂き、薪をつくっている御代田町面替の広葉樹の山の際を選びました。
森の中のワークプレイス 予定地
これからの地域社会で守っていくべき所としての例示を兼ね、縄文と平安の住居跡が一緒のところから出てくるような古来から人びとが住み続ける地区にある限界を迎えつつある集落と、かつて山の奥まで活用していた薪炭林の森との境界地帯。
自然環境への負荷が低く、スケールも柔軟に変えていくことができるモバイルハウス群を新たに提案しながら、他地域でも導入しやすいワークプレイスの姿を実現してみることにしました。この活動に賛同、ご協力頂ける方と共に森の中のしごと場所として利用できるのではないか。
縄文住居群のようなワークプレイスを拠点にして、先人たちの智恵や技、慣習、最新の研究技術から、これから生きるために使える可能性のあるタネを選別し、継いでいく事業を行っていきます。
収集した資料や取材したコンテンツはデータベースに格納していきます。そして、データベースのタイトルが一覧できるような《インデックス》をつくります。
都城市立図書館に設置されている《インデックス》
案内パンフレット(PDF:1.8MB)
《インデックス》で気になったものを実際に体験、学習できるような仕組みも整えていきたいと思います。
この《インデックス》の仕組みを全国の図書館、科学館、公民館、市役所などのパブリックスペースに提供していければ、もしかしたら世の中が少し変わるかもしれません。
言うは易し。計画通りに進むことなんてまずありませんが、始めなければ始まりません。ひとまず、ワークプレイスのコアとなる小さなモバイルハウスのデザインのキックオフミーティングを行いました。
今後、みなさまにもご協力をお願いすることもあるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。
図書館をベースとした地域自治の拠点づくりのお手伝いについても引き続き行ってまいります。
これまでは私自身の手一杯を理由に、依頼や、提案競技などへのお誘いをお断りをすることもありましたが、地域で生きていくための拠点づくりを本気で願う自治体、住民のみなさんがいらっしゃるところであれば、お引き受けできる体制をできるだけ整えていきたいと思っています。
2019年8月20日 代表取締役 森田秀之
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